はじめに
ここの記述されていることは、ある程度の電気的知識を前提にしております。ここの記述に基づいて組み立てをおこなった際のいかなる損害に関しても責任は負いかねます。自己責任でお願いします。知識や見識のない人が安易に手を出すのは大変危険だとご認識ください。
温度調節器をアマゾンで購入してみました。
STC-1000。初回はLerwayという会社のSTC-1000(2015年6月に2,279円で購入)、2回目は、ElitechのSTC-1000(2015年9月2,689円)を購入しました。中身は同じものですね。届いた箱を開けると、袋に入ったSTC-1000と温度センサ、動作説明書(英文)(どうやらコピーみたい)だけという極めてシンプルな内容物。保証書とかは入っていませんね。(なんとも中華クオリティですね。)


さて、この温度調節器、同じような外観で、機能の違う機種が何種類もあり、ぼんやりしていると、間違ったものを注文してしまいそうです。(当初、アメリカのAMAZONで探していましたが、海外発送しないところばかりで困っていて、日本のアマゾンを探したら並行輸入品がありました。少し割高ですが、まあ仕方がないでしょう。せっかくPAYPALに登録したのに無駄になっちゃった。)
この装置、いろいろなバリエーションがあって、AC110V仕様、AC220V仕様、摂氏表示、華氏表示に分かれる。(これはアメリカのAMAZONでの商品の話で、日本のアマゾンでの並行輸入品では、110V用220V用の摂氏表示のものがありますが、今のところ華氏表示のものは見当たらないようです。2015年9月現在の話です)しかも、どうも廉価版(加熱、冷却のどちらか一方しか選択できない機種(どうやって切り替えるのかな?)が2000円以下で販売されているみたいで、大変ややこしいw。廉価版は使ったことがないので、よくわかりません。
デジタル 温度調節器 110V STC-1000 【並行輸入品】
STC-1000の動作説明書は、英語で書かれているので、とりあえずネットにあったAC220V用の動作説明書を読んで購入を決めました。(この辺の敷居が高いかもしれないが、温度調節器で3000円を切る商品はなかなかありません。)
下のものは、購入した商品(AC110V、摂氏(℃)仕様)についていた説明書です。

また、STC-1000で動画検索すると、組み立て方等がアップロードされていて、面白く拝見させてもらいました。(英語とか外国語の動画です)
(1)簡単なスペック
・温度設定範囲-50℃~99℃
・分解能 0.1℃
・精度±1℃(-50℃~70℃)
・パワーサプライ 110VAC(これは110V用ね;220V用は220VACとなっています)
・消費電力 3W未満
・温度センサ NTCセンサ
・リレー接点容量 COOL(10A/250VAC):HEAT(10A/250VAC)
・周辺温度 0℃~60℃
・相対湿度 20%~85%(結露なし)
・保管温度 -30℃~70℃
機能としては、設定温度と差分温度、冷却時の遅延時間を設定できます。
設定温度より差分温度分温度が低いとHEAT(加熱)スイッチがONになります(加熱表示ランプが点灯します)。そして設定温度に上昇すると、スイッチがOFFとなります(加熱表示ランプは消灯します)。(例えば、設定温度35℃、差分温度2℃に設定した場合、33℃以下でHEAT(加熱)スイッチがONになり、35℃まで上昇するとHEATスイッチがOFFとなります。)
この状態で、設定温度より差分温度分温度が上昇しても、直ちにCOOL(冷却)スイッチがONにはなりません。設定されているコンプレッサ遅延時間(1分~10分)の間スイッチがONにならずに待たされます。この遅延時間の間冷却表示ランプは点滅しています。遅延時間が経過するとCOOL(冷却)スイッチがONになり(冷却表示うランプは点灯)、設定温度までさがるとスイッチがOFFとなります(冷却表示ランプは消灯)。(前の例と同じく設定温度が35℃で差分温度を2℃、遅延時間1分に設定した場合、37℃になり、1分間遅延してCOOLスイッチが入り35℃でOFFとなります。このまま温度が低下し、33℃になってHEATスイッチが再びONになります。この差分温度というのは、加熱、冷却で、1つしか(同じ差分温度しか)設定できないところが悩ましいところではありますw。
この差分温度は、0.3℃~10.0℃まで設定できます。(0℃にはできません。:まあ、そんな設定(差分0℃)では、頻繁にリレーがON/OFFを繰り返し、リレーの寿命にも、接続機器にもよろしくないですね。)
前述しましたが、冷却に関しては、コンプレッサを使用している場合を考慮して、遅延時間を設定できます。(コンプレッサは、短い時間でONとOFFを繰り返すと機器を痛めたりします。)
この遅延時間は、1分~10分までの時間を設定できます。(たとえば遅延時間を5分とした場合、先ほどの例では、37℃になってもただちにCOOLのスイッチが入るのではなく、5分間スイッチが入る時間を遅らせることができます。その間に温度がもっと上昇してしまうかもしれないがコンプレッサ保護のためには仕方がありません。)これも0分には設定できません。
COOLスイッチとHEATスイッチは排他の関係にあり、同時に両方のスイッチがONになることはありません。
一応温度校正もできるようになっています。(-10℃~10℃の範囲で)
この温度調節器を実際使ってみましたが、やはり1つの差分温度で加熱冷却双方を駆動させるのでは、微妙な設定ができない気がします。気分的な問題ですがw。(麹づくりであれば、冷却スイッチは使わずに加熱スイッチだけでもなんとかなります)そこで、もう一台購入して、加熱用と冷却用を独立動作させることもできるようにしました。(それなら廉価版2台で十分でしょうが、別な用途に使うことを考えて、1台で加熱冷却をON、OFFできるSTC-1000をもう1台(計2台)購入して、組み立てました。
(2)ケース選び
以前に購入したSTC-1000をケースに収める必要があり、いろいろと物色していたら、FPDケース(50枚用)が見つかりました。今回も同じようなFPDケースに入れて配線するとこにしました。(今どき、こんなケースあるのだろうかw)100円ショップのコレクションケースもなかなか良かったのですが、ちょうどいい大きさのものが見当たりませんでした。
(3)配線部品
FPDケース内に配線するため、以下の部品を用意しました。
・フルカラープレート2個口(パナソニック)
(今回は諸般の事情により断念し、パナソニック WCN3701 FC埋込タテ取付枠 1個用と
フルカラー組合せ用 1Pモダンプレート(ミルキーホワイト)の組み合わせ2組としました)
WCN3701 単価29円×2、FC1P 単価46円×2。
(実は、パナのホテル用ミニコンセントプレートWNH9102、WNH3902がほしかったのですが、近所では手に入りませんでした。)
・コンセント2個(WN1001SW 単価120円×2
・単線(VVF3芯2.0mmコードを剥いで調達)黒線は少し細いVVF2芯1.6mmから調達
(たまたま、家に半端なコードがあったので)コードを剥かない状態で、VVF2芯1.6mmの許容電流が18Aなので、まあ大丈夫でしょう。
・50芯のJISより線(1.25mm^2)許容電流は12Aぐらいでしょうか。
・電源プラグ
・単線コネクタ ニチフ クイックロックQL×4 5個入り 124円のうち1個のみ使用
・より線と単線を接続するキャップ: エルパ ねじ込みコネクタ大5個入り172円(今回は下の棒形端子を使ったので使用せず)
・結束バンド2本
・M4のネジとナット 4組 単価8円×4
・棒形端子キャップ付き10個入り 189円 のうち2個使用
(これは、電工ペンチ(と握力)が必要。工具がない場合、ねじ込みコネクタを使用した方が簡単ですね。)

(4)レイアウトのイメージ(FPDケースの上に部品を乗せてみました。)

(5)作業開始(くれぐれも自己責任で)
1.FPDケースにケガキをします。

2.四隅に穴を開けます。

3.糸鋸で切断します(なんとも汚い切断面w)

4.部品を取り付け配線します。


最後に裏蓋をかぶせ、ネジ止めして、STC-1000の配線接続箇所が見えないようにします。

(注)ACコード、温度センサはコードの引っ張り防止に、結束バンドで結んであります。 各コンセントプレートはM4 15mmのネジとナットで固定しました。
STC-1000配線図

今回の配線図

(注)2回同じ物を作って、毎回悩むのが、より線と単線の混在で、全部より線にした方がよかったかなと思います。STC-1000の配線接続口は、どうやらより線を想定しているようで、単線だと、しっかり固定できているのか?と一抹の不安を感じますね。
そうそう、実はこの装置AC110V仕様なんですが、日本のAC100Vで問題なく?動作します。
自作PCなんかも、同様に110V仕様だったりしますね。
完成。
1号機と2号機です。よく見ると、FPDケースの大きさが違うことがわかります。今回コンセントプレートを変更した理由は、1号機のプレートでは、はみ出してしまうからです。ケースの横幅がほんの少し短い。

Heat とかCool とかは、仮にテープで貼り付けてるだけです。気にしないで。
今プリンタが2台とも壊れていて印刷もできない状態なのです。
電源を入れて、温度センサをテープで固定してみました。同じ温度を示しています。
実際には、0.1℃~0.2℃くらいずれることもあります。まずまずの精度ですね。
(本当の温度が何度なのかはわかりませんが)
これで、麹作り(30℃近辺)、甘酒(60℃近辺)、その他、パンの発酵、納豆の発酵、100℃未満の燻製器の温度制御、家庭菜園に植える野菜の種の発芽温度管理等が手軽にできるようになりました。と喜ぶのはまだ早いです。
接続機器
今回のSTC-1000は、上にも書いてあるとおり、
>・リレー接点容量 COOL(10A/250VAC):HEAT(10A/250VAC)
許容電流は10Aです。配線は10Aを超えるものを選択しています。
電気製品には、抵抗負荷のものと、誘導負荷のものがあります。
抵抗負荷のもの(ニクロム線電熱器、低機能なホットプレート、ひよこ電球、ヒーターとか)は、突入電流が1倍ですので、500Wの電熱器は、スイッチON時から5Aの一定の電流が流れています。これは問題ありません。
(注)普通のホットプレートは、1050Wとか1350Wとかですので、10Aを超えるので使えませんし、ホットプレートの温度調節機能が行おうとしている温度制御のさまたげになるかもしれません。また、熱帯魚用ヒーターは水の中で使用するもので、空焚き状態になる恐れがある用途には使えません。(阪神大震災では、熱帯魚水槽が倒れてヒーターが空焚き状態になり火災が発生したケースがあるとか:いまのヒーターはそういった点を考慮して空だき防止安全装置がついているだろうとは思いますが、)
参考:ttp://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20090604_2.html
また、ひよこ電球(保温電球)は、水滴等で破裂することがあるとかいう話も聞きますので、湿気の多い麹作成等に向くのかな?とも思ったりしますが、使ったことがないのでわかりません。
燻製を作る方は、よくニクロム線電熱器を使ったりしているようですね。これは抵抗負荷なので問題ありませんが、電源スイッチや出力切り替えスイッチがダメージを受けることがあるので、そういったスイッチがついていない電熱器が販売されてたりします。
電熱器 300W FS-51用
電気コンロ 600W 実用型
問題なのは、誘導負荷、その他のケースです。
誘導負荷のものは、リレーで約2~3倍、モーターで約5~10倍の突入電流が流れます。
その他のケースとして白熱電球は、なんと約10倍~15倍の突入電流が流れます。
参考:ttp://www.fa.omron.co.jp/guide/faq/detail/faq02165.html
熱源としてコタツを使うのは、難しいですね。
ハロゲンヒーターや、コルチェヒーターは突入電流が発生しますが、LTヒーター(発熱体としてニクロム線を石英管内に配置したもの)やピュアタンヒーターは突入電流は発生しません。コタツではありませんが、カーボンヒーターも突入電流は発生しません。
消費電力何Wの機器を接続するのか、突入電流の有無、何倍の突入電流なのか等よく考えて、調べて接続しないととんでもないことが起こるかもしれません。
冷却用のファンもモーター駆動ですから、慎重に機器を選ぶ必要がありますね。
そんなわけで、接続する機器はとりあえず以下のものにしました。
・熱源:ミニホットプレート ツインバードLC-361 450W
温度調節機能なし、温度ヒューズ126℃
操作できるのは、電源スイッチのみという極めてシンプルなもの
なにかの懸賞で貰ったものを使うことにしました。(本当は電源スイッチがないものがいいんですが、様子を見て外しちゃおうかなと思っています)

左のは熱帯魚用冷却ファン(AC100V)4.5Wなので、10倍、20倍の突入電流が発生しても問題ありません。(別に冷却は使わなくてもなんとかなるので、現在は外しています)